PINフォトダイオードによる放射線測定予備実験その7

先日の金精峠に行った際のPINダイオードのカウンタ(以下PINカウンタとする)のフィールドテスト結果を報告する。
装置は以前紹介した通りであるが、アルミ箔を貼ったふた部分に圧電ブザーを追加し、プログラムを多少修正した。

前回紹介した内部写真
検出電圧は12mV以上として装置を胸ポケットに入れ旅に出た。

これまでの様に自作GCのデータをPCにて取り、後でPINカウンタのログデータと比較する予定であったが、PCのデータを操作ミスで一部消してしまうと言うミスを犯してしまい。一部のデータで比較を行うことになった。
下記に計測結果を示す。

ガイガーカウンターのデータが真ん中抜けているのはデータを消してしまったからである。偶然にもPINカウンタの10分積算値と自作GCとの値が近そうなので、そのままプロットとしてある。後半のデータでPINカウンタの値が大きくばらついている。
取り急ぎGCの値とPINカウンタの値の相関を取ってみる。

予想通りバラツキがひどい。
PINカウンタで値が大きくばらついているあたりを考えると、・・・そう!山間部を走行しているのである。前半の高速道路ならびに市街地と比べ胸ポケットに入れたカウンターの動きが大きいのである。そこで、前半の市街地と車を停止している状態(買い物・天体観測等)のデータを抜粋してみた。尚、この時GCの値を、これまで示した換算値によりuSv/hに変換して相関図を作成した。

抜粋データで見ると相関はありそうである。

さて、上記ノイズは本当だろうか・・・追加で実験を行った。
PINカウンタに振動を与えるとノイズが入ることは既にわかっている。試しに本体をドライバーなどで軽くたたくと”ピッ”と音がしてカウントされるが、実際に胸ポケットに入れ生活していて値はどのようになるのであろうか・・・?
自分の生活圏でGCで見ると10~20cpmくらいで、平均で15cpm程度である。これをバックグラウンドとして値が変わらないものと考え、
 1.静止状態での連続計測(以下BG静止)
 2.胸ポッケとにいれ通常生活(以下BG携帯)
 3.比較目的で、ウランガラスを入れた袋の上に置いて連続計測
の3条件でデータを取った。ウランガラスでの測定は、物理的な置き位置が異なるので正確な比較は出来ないが、似たような条件でGCで28cpm程度の値であった。
PINカウンタをクッション性のある袋に入れ胸ポケットに入れ通常の生活でのデータを取った。

平均カウント数を見てもらえばわかるが、残念な事に静止状態でのバックグラウンドとウランガラスの上での差より、バックグラウンドでの静止と携帯状態での差の方が大きい結果が得られてしまった。
下記に、10分積算値の分布を示す。

縦軸は、各々の条件でカウントした中での出現割合で、たとえばBG静止では10分でカウントがゼロであった場合が約28%、1は45%の意味である。

静止状態でのカウント値に比べ、携帯状態では10分積算値のバラツキが大きい。特に大きい値を示している部分は行動記録から、主に大きく体を動かしているタイミングであり、具体的には、ジョギング・酔っぱらいの喧嘩の仲裁等をしたタイミングであった。車両運転時は概ね15程度の分布となり、これは先の高速や市街地を走行していた時のデータと一致している。

※ 実は上記BG携帯データ中から抜いているデータがある。これらのデータは100程度の特別高い値なのだが、どれも電磁調理器の近くにいたときに観測された物である。電磁調理器からノイズを拾ったのであろう。

以上の結果から、下記がわかった。
 今回作成したPINカウンタでの測定は、静止状態で測定しないと低いレベルでの測定は難しい。
 動いている状態では様々な振動によると思われるノイズが発生しデータが発生するが、状態によりバラツキがかなりある。

また、課題として下記が考えられる。
 固定などにより発生ノイズを押さえる事が可能か?
 車両でのノイズは、振動によるものなのか、イグニッションノイズなのか?
 ノイズ信号に特徴は無いのか?
 ダイオードによる違いはあるのか?(感度の高いダイオードを用いた場合に相対的にノイズが下がるか?)

今回はここまで。

いつもよりガイガーカウンターがうるさい?

自室でテレビを見ていたら、ふとピッピとうるさい気がした。ガイガーカウンターがいつもよりちょっと鳴っているのである。とりあえずカウンターを見たところ(最近上がり気味ではあるが)普段10-17CPMあたりであったのだが、18-23CPMあたりを示していた。試しに外に出たところ平均で25CPMくらいは出ていそうである。時刻にして23時から0時位である。北風が強いのだが、土埃として粒子が飛んで来ているので無いことを祈りたい。
この文章を書いているタイミングではいつもの10-17CPMあたりに戻っている感じなので一時的な物かもしれない。ちなみに手持ちの二台とも同じ傾向なので、装置の異常ではなさそうである。これから関東では乾燥して土埃が舞う季節なので、連続的な記録とマスク着用が必要かもしれない・・・。

ちなみに以前(4月頃)だったと思うが、外でカウンターが高い値を示した事があったが、この時は高速道路の下に入ったら普通の値に戻った記憶がある。たしかこの時にオゾンホールの話も出ていたので、この時は宇宙線の影響かな~と思ったのだが、あくまでも推測である。宇宙線であれば仕方がないが、土埃だと内部被曝につながるので、注意が必要だろう。あぁいやだな~・・・!

金精峠

年末だと言うのに、「やさぐれ大盛りつゆだく・みそ汁付き」状態だったので、明日に延ばせる事は明日にやる事にして、気分転換に昼食の帰りに実験観察に出ることにした。
今回のテーマは、
 1)数年落ちのスタッドレスタイヤで雪道はまだ走れるか。
 2)久しぶり天の川が見たい。
 3)先日作成したPINダイオードのカウンターはフィールドで使えるか。
の3点である。
尚、今回はデータ整理がまだなので、(3)については後日報告とする。

金精峠は、クリスマス明けの月曜日に冬期閉鎖に入るらしい。以前は仲間とスキーを持って遊びに行ったのだが、最近はスキーすら行かなくなり、「スタッドレスタイヤはもういいや」状態だった。しかも今年は原発事故があったおかげで、外でタイヤ交換する気がおきなくて、一年スタッドレスタイヤをはきっぱなしだった。一応今シーズン買い換えるかを検討中ですが・・・・大丈夫?・・・

天気は下り気味なので、早めに星が見えるところに行こうと思い、日光側から行く事にした。遅めのランチを取ったあと、いつもの如くノートPCにガイガーカウンターとGPSを取り付け、東北道に乗り一路日光方面へ。ほとんど休まずにいろは坂を超え戦場ヶ原の三本松の駐車場へ。途中路肩に雪が見られるもののほとんどドライだった。

駐車場の周りもまだ雪はあまり積もっていない。

いい加減なカメラしか持っていない上に三脚も忘れたので、車にカメラを固定して撮影。カシオペア付近ですが、うっすら横にもやのようなものが見える気がしませんか?天の川です。
いいかげん体も冷えたので、先に進むことにした。ちなみに車載の温度計で-10℃だった。

湯ノ湖を通過して峠へ。アイスバーンが所々出てきたが無事トンネルのところまで。

この向こうは群馬県だ。
トンネルを抜けると圧雪になっていた。

早速直線で制動テストを実施。雪質と気温が低いせいもあり、思ったよりも止まる感じだったが、テカテカのアイスバーンだと危険かもしれない。途中のなだらかなあたりを、ちょっと往復して懐かしい気分に浸り、沼田側に下りる事にした。
丸沼あたりからアイスバーンが増えてきた感じだった。
ちなみに、助手席にノートPCがあるので、これが落ちない様にしなければいけないので、心のブレーキになってちょうど良かった。

久しぶりにこの看板見た気がする。今年はスキー復活しようかな・・・。

帰りはデータ取りのために赤城東面を走って帰ったのだが、途中でデータを消してしまうミス以外は無事に戻る事が出来た。

とりあえずここまで。

100ミリシーベルト

YAHOO!ニュース見てたら”福島県浪江町赤宇木手七郎で、線量計が設置された3月23日以降の放射線の積算線量が100ミリシーベルトを超えたことが18日、文部科学省が公表した調査結果で分かった。”とあった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111218-00000096-jij-soci

どこかと思って見てみたら以前わんこそば行く途中で通ったところで、線量が高かったあたりである。
3月23日から12月17日(269日)で、このあたりでの移動中の車両で計測し換算した線量が7.18uSv/hであるので、単純な積算を行うと、
 269*24*7.18=46354.08
となり、大体46mSvとなる。
私たちが通ったのは11月中頃であったので、それ以前はさらに線量は高かった事が予想される。またアスファルトの道路の上を車で走行しながらのデータであるので、実際よりも低い値を計測したと予想される。はかり方と場所変えると値が変わってくる放射線なので、当時「え!何これ?」と思ったけど大体測定は間違っていなかった事がわかった。ちなみに動画はもっと手前の線量の低いあたりである。
記憶ではこのあたりは山間で、当時このあたりで何か作業をしている方々を見かけた記憶がある。普通の姿で作業していたが大丈夫だろうか・・。国が「除染」と言っているがどう考えても無理な気がする。多額の税金と多くの被曝者を出して、結局人が安心して住む土地は帰ってこない様な気がしてならない。それでも国は「安全になりました」って言っちゃうのかな・・・・。

PINフォトダイオードによる放射線測定予備実験その6

前回はVBPW34FASを試してみたが、ここでは戻って秋月で購入できるS6775に戻ることにする。
いつものことではあるが、ノイズ対策に悩まされるのだが比較的安定した実装が出来たのでこれで実験を行う事にした。
但し、振動などによりやはりノイズが発生するので、まだまだ対策が必要な感じではある。

回路図は基本前回と同様だが、実装とこれまでの経験よりS6775を2個として作成を行った。尚、VBPW34FASと比べ半導体面積は合計で大体近い値となっている。
 VBPW34FASx6 3x3x6=54
 S6775x2   5.5×4.8×2=52.8
また、ノイズレベルを前回より少し高めに見積り、マイコンのADコンバータで12mV以上をカウントする様に変更した。

下記に写真を示す。

外観図

シリアルケーブルを接続したところ

内部写真

基板写真

計測時(減塩塩を測っているところ)

目的
今回の目的は下記である。
 1.カウンターとして有効であるか
 2.エネルギー分布を見ることが出来るか

測定結果
まず、バックグラウンド・減塩塩・ランタンのマントルでの測定を行う事にする。
下記を見てもらうとわかるが、ある程度のデータを取ろうと思うと結構時間がかかるので、150~200を超えるあたりのデータを収集し比較する事とした。サンプル間の比較は下記となった。

 バックグラウンド 0.18cpm(756分平均)
 減塩塩      0.43cpm(512分平均)
 ランタンマントル 5.11cpm(45分平均)
以上の結果よりカウンターとしては機能してそうな事がわかる。

次にエネルギーの分布であるが、これは下記の様になった。
尚、この表は各々の電圧のカウント値を測定時間で割って、1分あたりの数値として記載している。

各々を別グラフで示すと下記となる。

バックグラウンド

減塩塩

ランタンのマントル
絶対レベルは異なるが分布が同じような傾向になっている。

実は今回期待したのは減塩塩で特徴的なピークは出ないかと期待したのだが、残念な事にそのようなものは見られなかった。
そこで、そもそもそのようなピークはどうなるのか・・計算する事にした。(最初にやれ!って感じですが・・・)
カリウム40のγ線は1.46MeV であり3.62eVで原子1個を電離するらしいので、全体で電荷は6.46E-14qとなる。チャージアンプと二段目の増幅回路から出力されるピーク電圧は簡単な計算で64Vになりました。
 1段目の出力は Q/C=6.46E-14/1E-12=-0.0646(V)
 2段目の出力は Vinx(-R2/R1)=-0.0646x(-1M/1K)=64.6(V)    
念のためQCUSを用いて回路シミュレーションを行いましたがやはり40V位にはなります。これでは、電源電圧が3Vで駆動しているので当然計測出来ないのですが、それ以前にデータを見る限り出力が飽和している様なデータが全く出ていません。つまり回路云々以前の問題で、K40のγ線全体に相当するような信号はセンサーで検出されていない事になります。
予想ですが、センサに入ったγ線はいくらか吸収されるが、1.46MeV全体が検出される前にセンサーを通過してしまっているのでは無いかと思っています。つまりγ線の一部のエネルギーを検出している様な感じです。逆電圧を高くする等して空乏層をもう少し広げれば多少変わるのかもしれませんが、そもそも物理的に厚みのあるものでは無いので、根本的に1.46MeVをこの方式で検出するのには無理があるように思えてきました・・・。
一応諦めず、今後は先のVBPW34FASや別のダイオードについても調べてみたいと思います。

今回の結論
 S6775を用いた検出器はカウンターとしては有効ではあるが、エネルギー測定を行うのは無理がありそうである。

 今回作成したカウンターは、かなり小さく作ることが出来たので、ログ機能とアラーム機能を付けて子供に持たせてみようかと思っています。こちらについても別途また報告いたします。
ちなみに二段目の増幅率を下げるとマイコンでの測定に無理が出てしまうので、カウンターとしてはこの方が良さそうでした。

・・・個人が手持ちのものでいろいろやるのはここらあたりが限度かな・・・

PINフォトダイオードによる放射線測定予備実験その5

しばらく間が空いてしまいました。
前回から検討したこと。
1.通信関係等を考え、マイコンを拡張ミッドレンジコアのPIC12F1822で作成する事にした。
2.通信に秋月電子さんで販売しているFT232R-USBシリアル変換モジュールを利用してみる。
3.PINダイオードにVBPW34FASを使用してみる。
1は前回の福島でのガイガーカウンターの状況から通信系を見直す必要があると考え、これを機にUSART関係を利用したかったことと、AD変換に内蔵の基準電圧を利用したかったため、マイコンの変更を行いました。将来的には先のガイガーカウンターのコントローラーもこちらに変更したいと考えています。3は前回紹介したiPhoneに接続する装置に使用しているダイオードがこの型番であるらしので、比較対象とするためにこれを用いてみる事としました。大きさ等を考えると感度は期待できませんが、単価が100円未満で入手出来たので取り急ぎこれで実験を行いました。

回路図と実際の装置の写真を示します。回路図にはブザー等が書かれていますが、現段階では実装していません。計測データは、データを検知した時点でシリアルでPCにピーク電圧を送り、PC側のターミナルソフトでデータを受け取り、テキストファイルに保存させる方法で行っています。

最終的なイメージ(ICソケットなどを用いているので、実は高さが高くなりこのままでは入りませんでした。)

計測時の様子

基板拡大写真

シールドを外した写真(増幅回路はチップ部品を小さい基板上に付けています。)

回路図
とりあえず小型の物にしてみたかったので、電池をCR2032(メイン電源)、LR54(逆圧用)にしてあります。逆圧用にはCR12シリーズを用いても良いかもしれません。

信号検出の閾値をどのようにするかなど検討中ですが、とりあえず8mVを閾値としてプログラムを作成し実験を行いました。
iPhoneでのこのあたりのカウント数は2前後でしたのでこれと近い値が出るかと、適当なサンプルで差が見られるかを測定してみました。

バックグラウンド、減塩塩、ウランガラスでのカウント数
サンプルの置き方等により値は変わるのですが、ガイガーカウンターで測った時と似たような傾向が見られました。また、バックグラウンドの値もiPhoneの結果と近い感じです。
上記のサンプル測定時の電圧分布を示します。17分間の測定結果の分布で、1分あたりに換算しています。



予備実験なのでN数が全然足りませんが、今後データを増やしエネルギーレベルと合わせられるかを考えてみたいと思います。

ああ、時間が・・・・